わたしは洗面所に逃げ込みました。
しばらく荒い呼吸を何度も何度も繰り返します。
おぞましい程の吐き気が腹の底から突き上げていたので、したたかに戻しました。
胃液の強酸がのどを焼き、同時に、内臓にも酸を浴びせかけられたような痛みがわたしを苛みます。
それでも吐き続けながら、自分は一体何をしているんだろうと自嘲したんです。
わたしが怖いと思ったのは彼らを失う事だというのに、なのにわたし自らが皆から逃げてどうするんだ、と。
無意識に頭を振ります。
少しでも今の状態から抜け出すことが出来ればと、しばらくそのまま、洗面台に凭れかかるようにしながら時間が過ぎるのを待ちます。
しかし吐くものが無くなってしまう頃になっても、いっかな恐怖は鎮まりませんでした。
力が入らずに、わたしはズルズルとその場にへたり込んでしまいました。
自分という人間の、なんと弱く脆い出来でしょうか。
想像上の喪失感に取り乱し、こうして惨めな姿を晒している。なんと小さく下らない存在でしょうか。
そして失くすということの、なんと恐ろしく哀しく空虚でがらんどうな感じに満ちている事でしょうか。
震えが、止まりませんでした。
タチの悪い風邪でもひいたかのようにガクガクとひどい震えです。
止めようにもどうしようもなかったので、そのままでわたしは蹲りました。
ゆくゆくは、この世界で一人で暮らしていく事も考えておかなくては等と考えていた事を思い出します。
早々わたしも子供ではないのだからと、そうする事くらい可能だろうと、何処かしら気楽に考えていた事を思い出します。何も判ってはいなかったのに。
独りでなんて生きていけないと、知りもしなかったというのに。
わたしはその事にようやく気付き、しばしの間放心していました。
どのくらいの時間そうしていたか知りません。
案外短いものだったかもしれませんし、そうでなかったかもしれません。
ふと、とてもあたたかいと思いました。
何かに護られているかのような安心感のある温みです。
ぼんやりと其れは何故だろうと考え、同時に視界の一部が黒く覆われていることに気付きます。
直ぐにはそれが何なのか判りませんでした。
けれど徐々に徐々に、氷塊がゆっくりと融けていくようにして、その正体が知れました。
シャドウさんがわたしの背に両腕を回し、そっと自分を包んでくれている事を理解してビクリと身体が跳ねかけましたが、貴方が腕に力を込めて下さったのでそのままわたしは大人しくなりました。
離したくないと思いました。
今感じているこの体温を失くしたくないと思いました。
どうする事も出来ない程のシャドウさんへの感情でいっぱいになり、内側から自分自身潰されてしまいそうにさえ思いました。
けれど、甘えている訳にもいかないのだとわたしには判っていたんです。
「――大丈夫です、シャドウさん」
伝えると、貴方はゆっくりと身を退き、わたしを見ました。
いつの間にか震えも止まり、呼吸も正常です。
たぶんさっき迄の自分と比べれば顔色も良くなっているだろうと思います。
振り返って洗面台の鏡を見ると、大方想像どおりでした。これなら何とか、平気だろうと判断します。
「遊戯室に戻ります。いきなり飛び出してきて悪い事しましたしね、皆に」
「無理をしなくていい、もう休んだらどうだ」
「いや、平気ですよ。皆には 『 不覚にも泣きそうになった 』とでも言いますかね。人前で泣かないってのを信条にしてるわたしにとってはまあ、妥当な理由かもしれませんし 」
泣きそうになんてなってないのにそんな事言うのは、少々癪ですが。
そう独りごちていつものように笑ってみせると、シャドウさんは何も言いませんでした。
そうして実際わたしはそのように誤魔化し、皆にそのままお祝いされ、彼らとの時間を過ごしました。
たぶん皆は信じてくれたと思いますし、シャドウさんもおそらく、わたしが体調不良でも起こしたのだと思っていたんでしょうけど。
まあ、あれはただ単に自爆というか、自滅というか。
ただ、それだけの事だったんですけどね。わたし、結構考え込みすぎるきらいがありますから。
今考えるとかなり恥ずかしいですし、オチも無くてつまらない思い出話で申し訳ないんですが。
でも、経験にはなったと思っているんですよ。
少し時間が経って、判りましたしね。要は「失わなければいいんだ」って。
あの時はアレですよね。一時的に精神不安定でしたから。
自分でも妙に弱々しく考えてしまってましたけど、でも今はまったく平気です。
わたしが自ら手を離さなければいいし、離したとしてもまた引っ掴んでしまえばいい話ですよね、結局は。そんな単純な事をわたしはやっとこさ悟ったワケです。
だから前向きに考えることにしました。
そういった事がもし起こってしまったなら、それがどうしても手放したくないものだったなら、最後まで執念深く悪あがきして追っかけてやろうと思いました。わたし、欲張りですから。そうそう簡単に諦めはしない方ですし。
はは、わたしというキャラなら、それも本当にやってのけそうだとは思いませんか?
喪失というものがどういう事かなんて、正直、本当のところはまだ、わたしには判りません。
それでもそれを回避したいと、わたしは望んでいました。
わたしは本当に、其れを怖れていましたから。
殊に、本当に失くしたくないと思っていた目の前の存在に対しては、とりわけ、特に、そう思っていました。
……わたしは。
わたしは、そう、思っていたんですよ。シャドウさん。
それだと、いうのに。
わたしは顔を上げた。
吹き荒れる風が頬を打つ。砂礫や砂利が混じった温い温度。飛び交う声と激しいエンジン音。
既にファルコンの様子を確認し終えていたらしいセッツァーさんが舵を握り、ブリッジ全体を見渡していた。その顔には焦りがある。あまり余裕がないのだろうか。
いつの間にか飛空艇まで運ばれていたわたしは彼に倣って辺りを見た。
何かおかしいと思ったら、艇全体が大きく傾いている。角度にしたら十数度といったところか、それをなかなか元に戻せないでいる。一体如何したというんだろう、エンジントラブルが発生しているのか、気流の関係か、それとも瓦礫の塔の崩壊そのものか、或いは他に何か問題があるのか、わたしにはよく判らなかった。判るのは、出来る限り急いでこの場を離れるべきだろうな、という事くらいだった。
「皆乗ってるか!? 此処はもうヤバい、離れるぞ!!」
セッツァーさんが叫ぶその瞬間にもグラリと床が別方向に角度を変えた。思わず皆が声を上げたほどだ。
わたしはすぐ傍の柱に両腕で掴まり、もう一度周囲を見た。今度は仲間のほうを。
ロックがセリスと共に主柱をつかんでいる。
ロックが片手で口元を押さえ青い顔をし今にも逆流しそうになっているのを横目に後方を見た。
リルムとストラゴスさんが必死に壁のへりに張り付いている。インターセプターも居る。
反対方向では何故かエドガーさんが雪男とものまね師にしがみ付かれ引き攣った顔をしている。
前方に顔を戻すその横を、足を滑らせたモグが転がり、それをセリスが受け止めた。
そのまま前を見て思わず「わっ」、と声が漏れる。危うく艇から放り出されそうになったらしいカイエンさんとガウを、マッシュさんが両の腕に抱えて体勢を立て直している最中だった。栄養ドリンクのコマーシャルみたいだなぁと場違いな事を思う。
更に向こう、飛空挺の行く先には、幻獣化したティナが宙に浮いている。
淡いコーラルに似た色の髪が、風にたなびいていた。
──。
わたしはもう一度、辺りを見た。
間髪なく操舵士の叫びがわたしの耳に飛び込んでくる。
「よし、行くぜ!!」
「駄目!!!」
出発の合図に対し、わたしは言下に寸止めを掛けた。
セッツァーさんが怒ったような顔でこちらを振り返ったが、わたしは見ていなかった。
狂ったように周りを何度も見回し、気付けば声に出してその名を叫んでいた。
「シャドウさん! シャドウさん何処ですかっ、シャドウさん!!」
「なっ…、もしかしたら、まだ塔の中に……?」
「バカな、もう戻れんぞ!!」
仲間が一人足りない事に気付いた皆の怒号と困惑の声、轟く様なエンジン音、吹き付けてくる乾いた風。
それらが飛び交う中で、わたしは混乱した。
何度ぐるりと見渡してもあの装束の色は見当たらない。
既に階下に下がっているとか?
まさか。今この艇の状況を把握するにはブリッジに居るのが一番なのだ。下に居るとは思えない。まだファルコンに到達していないのだ。何故? 何か──彼の身に何かが起こったのか、それとも脱出の道に迷ったとでも?
そんな事がある筈がない、あのシャドウさんが寄りによってこんな時にそんなミスをやらかす筈がない。
……事故? 降ってきた瓦礫に身体を挟まれ何処かで身動きが出来ないでいるとか?
いや。彼に限ってそんな事はない。あの人なら難なく此処まで到達できるはずに違いない、そうに違いない、何といってもあのシャドウさんなのだから。問題などあるはずがない。
だとすれば後他に考えられる状況は?
彼がこのファルコンに辿り着くまでの間に起こり得る事態とは?
わたしは幾つかの可能性を思い巡らせ、しかし全部にバツを振った。
どう考えてもシャドウさんが辿り着けない状況を思い描く事が出来ない。
わたしは更に混乱した。
どうしてだ。なら、何故、あの人は此処に居ないのか。何故彼が今この場所にいないのか。あの瓦礫の中に残っていたら、あの崩れ落ちゆく場に彼が居るとしたら。バカな。そんな事したら、シャドウさんは。
自分の身体が熱くほてりを帯びているのと同時に、つめたく冷えていく感覚を覚えた。
頭の中が疑問符で氾濫していた。目まぐるしく「何故」という言葉が並ぶ。
落ち着け、考えろ。わたしは自分に言い聞かせた。
何故、シャドウさんはあの時わたしから離れてしまったのか。
何故、そうする必要が彼にはあるのか。あるというなら、ならば其れというのは一体何か。
考えろ。不慮の事態でシャドウさんがこの場所まで到達できないなどという事はあり得ない。ならば何故か。
その上で、彼がここに居ないという事、それというのは、つまり其れは──。
そこまで思考した瞬間、わたしの周りは急にすぅっと暗く暗転し、何処か別の次元に投げ込まれたかのような感覚に陥った。
辺りの騒がしい音声が消え、光が消え、闇だけが残された。立っていられずに、床に膝をつく。
まずい。余程わたしは気が動転しているんだ、こんな状態になるなんて。今はフラフラしている訳にはいかないというのに。
自身の異常をどうにかしようと必死に立ち上がろうとして、闇色の空間の中に誰かが居ることに気が付いた。
こちらに背を向けていて表情が見えない。
しかしわたしには、其れが誰なのかを直ぐに理解していた。
自分の想像の中の彼でしかないと判っていて、それでもそのまま彼に訊く。
──何故ですか、シャドウさん。此処まで来ておいて、何故。
此処まで来てしまったからだ。
全く動かない影は、空間と同化しているかのようだった。
空想上のシャドウさんは、周囲とほとんど判別がつかない程に闇に溶け込んでいた。このままでは本当にその色に溶けて消えてしまう気がした。
答えになっているのかいないのか判らない事を端的に言うシャドウさんに、尚続ける。
……それを、シャドウさんは望むというんですか。
このお終いの場所で、このまま、時間を置いていくんですか、誰にも、わたしにも知られないつもりで、たった独りで。
影は相変わらず動かず沈黙を守り続けている。
わたしが痺れを切らしてまた口を開こうとする寸前にようやく向こうは徐に振り返った。
いつもと変わりない深い色の瞳が、暗い空間の中で浮かび上がるかのようだった。
僅かに感情らしいものがその目に滲んでいる。
何故そうまでして此処に留まる事を選ぶのかわたしには理解できない。
わたしの創り出した幻影の彼には、思ったことが直に伝わったらしい。シャドウさんは微妙に表情を変えた。
声は聞こえなかったが、口元は動いた。
すまない。
それだけを告げて彼はまた向こうを向いてしまう。
今度こそ本当に黒色と一体化してしまうその人を見つめながら、わたしはどうすればいいのか判らずに立ち尽くしていた。
いつの間にか闇が晴れても直ぐに立つ事が出来なかった。
たぶん三十秒にも満たない時間だったと思うけれど、意識が飛んでいたのは自覚していた。
けれどわたしは、飛空艇がまた傾きを増したことや自分の口が無意識に動くのには気付いていなかった。
──何故?
わたしの中で再びその言葉は現れた。
彼がどうして「そうする事」を選ぶのかを思う。
シャドウさんは何故、そうしなければいけないのか。何故、そうでなければいけないのか。
初めて会った時の刃物のような視線や、サマサに向かう船上で掛けられた言葉を思い出す。
魔大陸での彼の表情、世界が破れた直後、怪我で床にふせっていた時のこと、コロシアムでの日々、旅の先々でのこと、最後の闘い、そして脱出。
何時もぶっきらぼうで言葉足らずだった。表面的には冷たく人間的な部分を見せない側面。
けれど一年という時間傍にいてくれた事を、無言の優しさとその目に宿る仄かなあたたかさをわたしは知っている。
いつも何かに苦しんでいるように見えた。眠りに落ちた時の魘されようはまるでその象徴の一つであるかのようだった。
何も語らない、何も言わない。だからわたしも何も訊かない、何も尋ねない。
わたしはシャドウさんのことを何も知らない、けれどその人の体温をわたしは知っている。
冗談じゃない、と思った。
このままでは、わたしはシャドウさんを失くしてしまう。
それも彼自身の意志によって、理由も聞かされないまま、そして其れをわたしは理解する時間もないまま。
何も判らないまま、わたしは永久に彼を失ってしまうのだ。──冗談じゃない!!
なんて自分勝手な人だろうと思った。
なんて滅茶苦茶な人だろうと思った。
なんて強くて悲しくて素敵で、なんてなんて惹かれてやまない人だろう!
わたしは彼を失わない、わたしは彼を失わない。
そんな事になって堪るか、わたしはシャドウさんを失わない──!!
皆のうちの誰かが「もう少し待とう」とか「しかしこれ以上は」とか口々に喚き合うのをよそに、わたしは立ち上がった。
もうほとんど二十度近く傾いた甲板を滑るように端へと駆ける。
勢いが付きすぎて船のへりに腹をぶつけ一瞬息が詰まったけれど、どうでもよかった。
わたしは下を見下ろした。
揺れはますます一層、酷くなるばかりだった。
あちこちから瓦礫の崩れ落ちる音が響き、木霊していく。どの方向からなのか判らない。
判る必要もない。
自分のいるこの場所も、じきに無に帰すだろう。
怖くも恐ろしくもなかった。ただこれで、解放されるのだと思った。
今しか、ないのだ。
そう思った。「今」を逃せば、また俺は彷徨うことになるだろう。
俺は、最高のタイミングを掴むことが出来た。そう思うとふっと肺の奥から息が漏れた。
心と身体と魂にわだかまるものを全て抱えて、けれどもう、夢を見ることもない。逃げることもない。
この日が来るのを待っていた。遥か遠い昔から。
俺は腰を下ろしているその場所から、遠く視線を飛ばした。
相変わらず単調な景色がある。来た道はとうに塞がっていた。その事に何の念も覚えない。
ただ最後の記憶となるだろうこの荒廃した世界の終りを見届けるだけのつもりでいた。
世界は再生され、また元の姿を取り戻すだろう。
その新たな時代が生まれた時、暗殺者シャドウは世界に存在しないだろう。
終わりと始まりの境界線に紛れて消えるという事を考える。それは、間もなく現実のことになる。
目の眩むような安堵があるはずだと想像していた。
夢のない世界で眠れるのなら、それが安らぎなど抱かないものであっても構わなかった。例え永遠に光が射す事がなくても。
其れが今、目前に迫っている。実際その安堵の気配を胸のうちに感じていて、しかし、同時に痛みも存在していた。
この痛みとも、別れの時が近づいている。もう終わるのだと俺は自分に言い聞かせた。
もう、絡み付いてくる過去の記憶に頭を掻き毟り、終わりのないかのような闇の中を這いずるように生きるのをしなくてもいいのだ。
もう俺は、逃げなくて済む。その事を思いながら目を閉じようとした。
唸る機械音──、エンジン音を聞いた気がした。
顔を上げた。
その音が何か判っていたし、見なくてもよかった。
それなのに立ち上がってしまったのは、確認しておきたかったからだろうか。ここから姿など見えはしないだろうに。
ごうごうと巻き上がる風、激しい駆動音、吹き出すガス。
それらを俺は下から見た。
飛空艇は瓦礫の上で、旋回を始めていた。
……随分と不安定だな、と思った。
一度高く上昇したと思ったら、なかなかそこから上に行かない。
どうしたのかと見ていたら、急にプロペラの回転がゆるくなり、一瞬止まった。
船体もガクンと落ちそうになったのでヒヤリとしたが、なんとか持ち直す。この一帯の崩壊が影響しているのだろうか。
しかし徐々に、高度を上げていく。なんとか軌道に乗ったように思えた、あれなら脱出できるだろう。
そしてそのまま、空の彼方に消えるのだろう。
これで、見納めだ。
真っ直ぐに、それを見上げた。
見なければよかった。
そう思ったのは、飛空艇後部からその娘が顔を出したのを認めたからだった。
はこちらを真っ直ぐ見下ろしている。
俺は彼女を、ただ見上げていた。視線が、しっかりと合った。
──見なければよかった。
もう未練など残さないつもりであの時あの場所に置いてきたというのに。
思いながら、同時に、それとは逆の相反した想いも自分の中に生まれる。矛盾を抱きながら、ただ、上を見ていた。
空から降る陽が、ひどく眩しいことに俺は気付いた。
雲間から差し込む黄金色の光の粒子。
それは、この消えゆく場所にまで降ってきていた、音もなく。なお、音もなく。
あまりに眩かった。光というものの、なんと眩しく清浄で鮮烈な在り方だろうか。
満足していた。これでいい、と。本当にそう思ったのだ。
だから、事もあろうにが船壁のへりを乗り越えこちらへ来ようとしているのが判った時は流石に焦った。
何をしているのだと叫び出しそうだった。
誰か、そいつをしっかり其処に留めてやってくれ!
応えるかのように、すぐに三本、四本と誰かの腕が伸びて、を押さえた。
そうだ。それでいい。
おまえは此方に来ないでくれ。そうする必要などないのだから。
「行け」
俺は、そう言った。
あの時と同じように。魔大陸での時と、同じように。
まるで本当に聞こえたかのように、の動きが止まった。
いやいやをするように揺すられていた頭も、絡みつく手を振りほどこうともがく自身の腕も。
抵抗していた動き、その全てが一瞬、ピタリと止んだ。
彼女はもう一度、俺を見た。
だから、言った。俺も。もう一度。
「行くんだ」
「いやだああああああああ!!!!!」
信じられないものを、見た。
仲間の制止を振りほどいたが、空中に飛び出したのだ。その身体は真っ直ぐに此方に降ってくる。
俺は、駆け出していた。
←BACK
▲NOVEL TOP
NEXT→